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新生三菱自動車工業の社長

M氏の死は、K氏の立場に微妙な変化をもたらした。新生三菱自動車工業の社長には、重工副社長で自動車事業本部長だったS氏勇二が就任したが、国や官が主な相手で、客先が企画したものをつくるという重工の、しかも経理畑出身のS氏には、不特定多数の一般消費者が欲しがるものをつくって売るという、ドロ臭い自動車稼業は肌に合わなかったといっていいだろう。とくに重工からの分離・独立の最大の狙いだった乗用車事業において、自動車をよく知らないところから、提携先であるクライスラー社のいうがままだったとしても致し方ないところであった。四十八年五月、自動車事業部長の地位を去って四年あまりのブランクののち、K氏が二代目自工社長に就任した。K氏は社長就任のあいさつで、「乗用車部門の確立こそ当社最大の課題であり、同時に三菱グループの悲願である」と述べ、このことについて全社をあげて取り組みたいと、強い決意のほどを披露した。その少し前に新車種のランサー、そしてK社長就任の1ヵ月後にニューギャランが出た。ランサーはK氏が事業部長時代に開発をはじめた車で、コルト・ギャランよりやや小さめ、ニューギャランはそれよりやや大きめで、S氏社長時代に開発された車だ。ニューギャランの計画がはじまって間もない四十六年、日産からブルーバードをサイズアップしたブルーバードUがでた。デザイン展開にあたっては、ハードトップを先行させてデザインの美しさを追求し、あとのセダンにもスポーティな感覚と「機能」を表現したというブルーバードU610は、前モデルの510にくらべるとひとまわり大きくなっただけでなく、デザインも直線基調から曲線を多用したふくらみのあるかたちに変っていた。ブルーバードUは好評でよく売れた。

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