(中国人保育士と)保育のやり方の違いについては事前の話し合いのなかで確認していざよすから、大きな問題は起きませんが、対応の仕方でおかしいなと思うことがあればその場で注意していきます。以前、子どもたちに中国人の先生が「うるさい」と言ったので、そのすぐ後で、子どもには「うるさい」という言葉は(あまり適切ではないですよと)注意しました。中国の先生は「知らなかった、教えてくれてありがとう」と言ってくれました。(先生だったらどのように注意しますか、との質問を受けて)私だったら「静かにして」とか「うるさい」とか「声が大きいよ」という感じではなくて、「ありさんの声でお話ししようか」という言い方ですとか、「どうしたの?そんな大きなお声出して」と理由を聞いて、もし大きな声を出さなくてはいけないのでしたら。「ホールや外に出ようか」と言いますね。()内は補足他者の意図にできるだけ沿うように、他者から直接的な指示を受けなくても他者の期待に応え、他者に合わせて行動することがよいのか、それとも他者からの直接的で明示的な指示を受け、それらに対してきちんと自分のやりかたをできるだけ主張していくことがよいのか。子どもがどのような行動を期待されるかは、すでに乳幼児期から異なっている。しかし通常は、このような行動の違いは文化や社会のなかに埋め込まれているため、その文化や社会のなかにいる人々には意識されにくい。それらは異文化間で比較することによって初めて浮かび上がってくるものであると考えられる。したがって異文化間移動を経験した子どもであっても、またそのような子どもを受け入れる保育士であっても、意識的に異文化間比較を試みなければ、その違いに気づかない場合も多い。けじめに述べたように、とくに乳幼児期の子どもはそれ以後の発達段階に比べて、周囲の環境により早くなじんでしまうことを考えると、周囲の大人、とくに保育士が異文化間の違いに気づかないことも多い。その結果、子どもの行動を読み誤ったり、子どもの自己主張を「わがままだ」とラベリングしてしまったりして、子どもが不適応を起こす場合がある。また暗示・比喩的な注意を読み取れない子どもに対して、「気の利かない子」だと判定してしまうことがある。したがって保育士は、文化によって異なるこのような「いい子」像の違いを認識して保育を行っていく必要があると思われる。
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