集中型財務部門が、十二分に発達した通貨管理センターというべきものとして機能している場合には、企業として定めた政策方針にしたがって、ヘッジ取引の実行・管理について、財務部門が一〇〇%の責任を負うことになります。部分集中型との違いは、部分集中型では、財務部門が事業部門や子会社の要請に対して受動的な役割を果たすのに対して、通貨管理センターは、より積極的に全社・全グループ的なエクスポージャーを把握し子会社へ財務的観点からのアドバイスを行うなど、能動的な働きをすることです。この意味で、通貨管理センターをバリュー・アッド・センター(付加価値を生む組織)と位置づけることもできます。通貨管理センターは、企業によってさまざまな名称を与えられています。通貨管理センターはすべての子会社等に対して、定期的に通貨エクスポージャーについての正確な予測を行うよう求めますが、自らも全社・全グループのネットのエクスポージャーを分析する能力を要しますし、そのネットのエクスポージャーをヘッジする基本方針や枠組み、手続きも必要です。また子会社の収益性をより向上させ、商売に役立つようなアドバイスも期待されることになります。また、すでに確定しているエクスポージャーのみならず、将来のキャッシュ・フローを考慮しての予見エクスポージャーのヘッジも行うことになります。例えば、海外の子会社等からの利益送金が予想されているのに、この間に外貨の相場の下落があれば、ヘッジをしないと円貨額の利益は減少してしまいます。もっとも、この予見エクスポージャーのヘッジという考え方に対しては、単なる為替相場投機に過ぎないとか、予見エクスポージャーが間違っている場合にヘッジ自体が無意味になる可能性もあります。しかし、一方では、まったく管理しないことも問題があるといえます。しっかりとした原則に立っての予想エクスポージャーに基づくリスク管理であれば、検討されるべきでしょう。一方で金融技術面での進歩も大きく、これまでは考えられなかったような多様なデリバティブが誕生しています。リスク管理といっても、通常の業務に付随するリスクの把握に加え、これらリスクのヘッジにデリバティブが用いられており、そういったデリバティブの利用自体が新たなリスクを作り出すこともあります。しかも、情報伝播の速度と伝えられた情報に対する市場参加者の迅速な反応は、従前の比ではありません。これが、金融市場の不安定さを増大させる一つの理由となっており、リスク管理の必要性を一層高めています。プロフェッショナルな技術を持つバリュー・アッド・センターの必要性が増していると考えるべきでしょう。